窓と結露
毎年2月ごろというのは各地で大雪のニュースがありますが、
静岡では伊豆河津桜開花のニュースが伝わる季節でもあります。
そびえたつ南アルプスの壁一つ、その裏表でこれだけ違う気候に。
北に連なる峰々が北風を防ぎ、雪のない暖かな静岡の気候風土をつくっている地形を意識させられます。
そんな暖かな静岡でも他県から来た方によく言われるというのが「静岡の家は寒い」。
静岡の平野部では零度以下になる日は少ない。年、4,5日でしかも明方1,2時間程度。
確かに暖かい気候。・・・・・でも家は寒い?。
最近、健康と住まいの関係調査が進み室温と血圧の関係も明らかになってきました。
静岡は健康寿命では男女とも国内TOP3以内を維持しています。
※平成25年調査では女性1位、男性2位です。
その自慢できるデータの陰で心臓や脳疾患で亡くなる方の数がワーストTOP10以内であることを見落としがちです。
それは寒いと起きやすい心臓や脳にかかわる死亡データで、「静岡の家が寒い」を裏付けるようなデータとも受け取れます。
寒い家をつくってきた意識はないのですが
私たち家づくりに携わる者も「暖かな・しぞーか」が頭の中にあり、住まいの暖かさのレベルには鈍感であったように思います。
先日の窓のセミナーで窓の役割についてこんな説明がありました。
● 暖房・冷房・通風・・・これは省エネに関すること
● 結露・暑い・寒い・・・これは健康に関すること
と区分けしていました。なるほどなって思いました。
暑い寒いは健康に直結していると解りますが、結露と健康についての具体的な関係は解りにくいです。
カビの発生などとの関係があるかと思いますがもう少し詳しく確認する必要があります。
最近の窓メーカーさんのショールームには窓の断熱性能の比較展示が多くなっています。
結露の発生状況も解りやすく見せています。
例えば近年普及中の「うち窓」、とか「インナーサッシ」とよばれる既存のサッシの
内側に付ける樹脂製2重窓。
※左(上)の画像がうち窓を開いて外側の窓の結露を見ているところ。
左(下)の画像がうち窓を閉めているところ。
それぞれの画像の右の窓が既存の窓。
うち窓は結露を防いでくれるのですがそれは2重窓の室内部分で、
外側の既存のサッシにはご覧のような結露が発生します。
ちなみに窓の外は零下4度です。
結露は室内の水蒸気量と温度の関係で起きます。そこで窓の結露を防ぐには湿気を減らし、窓を冷やさないこととなるわけですが、うち窓の場合、断熱性能がいいおかげで既存の窓をすりぬけた外からの冷気は和らぎますが、既存の窓は冷たいままです。その為冷たい既存の窓に結露が発生する。シンプルです。
私が目をやったのはフレミングJと表示された室内に現しとなった既存の窓、
うち窓の外にある窓より結露が少ないみたい?。
「結露と暖房の関係は大事です」セミナーで強調されていました。
窓を暖めるのが結露防止につながり、ガラスの温度を上げなければ結露は防げない、と解説してました。
結露防止に厚手のカーテンを・・・とかは間違い?でもあるようです。
カーテンは外からの寒さ対策になるのですが、
一方、窓は室内暖房の暖かさを享受できず冷たいままになり結露する。
うう――ん。ややこしい。
「赤外線は物に当たると熱を出す。この性質を理解するとちょっと解ってきませんか。」とセミナー講師。窓に赤外線が当たりやすくすれば窓が暖められる。窓の前の障害物をなくせばいい。
それでは断熱性能が落ちる・・・・・
先ほどの既存の窓の表し状態のほうが結露が少ないかも、の答えにもなっている。
断熱と結露、難しいです。
とにかく、窓から熱を外に逃がさない「うち窓」効果はとても大きいので、
様々な情報とともに丁寧にお客様に伝えていきたいと思います。
それでまた誤解を生むことにも配慮しながら。
住まいの気密断熱化が進む中で健康にもかかわる結露対策に注目が集まります。
結露チェックの計算ソフトも導入しているけど使わずじまい。
結露に対する正しい知識習得が不可欠になってきたと感じる研修会でした。
育暮家むぱすのご近所のお庭にも河津桜があります。
桜をみるとなぜか暖かく感じます。
桜が咲くまでの冬を暖かく健康に暮らすために、
正しい知識を深めたいと思います。