藤枝市 リフォーム 育暮家 家は新築から始まり、メンテナンスやリフォームを繰り返し、維持されていきます。生活スタイルも家のつくり多様化したい時代にこそ、「ライフサイクルリノベーション」の考え方が大事になります。家は住み継がれていくことで長寿命となり、その役目を果たします。
2017. 7. 26

増築された家のリフォーム vol.2 (静岡-岡部)

今回は前回お伝えした二つの小屋組み、それぞれの構造を少しお話してみようと思います。
まず、こちらが洋小屋組。昭和63年に最初に建てられた部分です。
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見えづらいので、洋小屋組のイラストをかいてみました。

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 建築を勉強するとテキストにはこんな風に書かれています。
後で同じように和小屋組をのせてみますが、特徴的なのは合掌(がっしょう)、方杖(ほうづえ)
といった材料でしょうか。斜めにつっかえをするようなかたちで屋根を支えます。
この三角形で構成された構造がお互い引っ張ったり圧縮したりで力をうまく伝達するのですね。
 この構造を採用する利点は陸梁(ろくばり)に和小屋組ほど大きな力がかからないということです。
それはつまり木材の断面が小さくてすむということ。材料の節約ができるのですね。
また、断面が大きくなると樹齢の高い木材が必要になります。コストにも影響します。
・・・何より戦後木材が不足した時代、太い材料が手に入りにくかったこともあるのでしょう、
その流れをくんだのか、この組み方を選択したのではないでしょうか。
 昭和63年にはもう木材不足はだいぶ解消されていたかもしれませんが、
ここを施工した大工さんにとっては手慣れた工法として定着していたのかもしれません。
慣れた工法の方が手の進みが良くなりますし、
安定した品質でお客様に作ってあげることができたのだと思います。

 さて、一方和小屋組はどんなものでしょうか。
和小屋組の方は平成2年に増築した部分です。

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 パッと見洋小屋組よりシンプルに見えますね。ではイラストです。
変換 ~ 20170623114928-0002.jpg

 小屋束(こやづか)とい小屋組み用の柱のような材料が、屋根の重みを小屋梁に伝えます。
洋小屋組の陸梁と和小屋組の小屋梁は単純に見ると似ているのですが、
力の働き方が違っています。和小屋組の場合、小屋梁は小屋束からのたわませようとする力に
対抗するため洋小屋組の陸梁より大きな断面が必要になります。
 古民家ではよく梁が二重、三重になって架けられているのを見かけますね。
あのダイナミックさも和小屋組の魅力の一つですね。

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 定規を小屋梁だと思って下さい。梁は見た目では定規ほど変形しませんが、
同じようにたわませる力が働いています。木材もこの力に耐えられるだけの断面が必要になります。
そのため、同じ大きさの家に組んだとしても洋小屋組の陸梁より和小屋組の小屋梁の方が
大きな材料が必要になります。

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 大きな材といっても材の縦横のバランスが強度を左右します。
上の写真の定規も縦に使うと途端に強度を増します。
・・これ以上はやめましょう。専門的すぎて面白くないですね。

 では和小屋組のメリットは?となると思います。和小屋組は複雑な屋根の形状に対応できます。
屋根にむくりや反りを付けたり、建物の形状が複雑な場合でも和小屋組ならかけられるというのがメリットです。

変換 ~ IMG_3547.jpg
今静岡でリノベーション中の古民家の住まいです。

 普段は自社で施工する構法の施工性や強度について考えることはするのですが、
他の構法のことはあまり考える機会がありませんでした。
リフォームでこんな様子が見られると、なんというかなぜこうしてあるのか好奇心がわいてきます。
ちょっとしたお宝発見の気分です。
 この次はこの異なる構造を並べたときに施工した方の構造的気配りがあったので、
そのことと、今回の工事での補強方法・・・そのあたりをお伝えしていきます。

変換 ~ DSC_0978.jpg

以前の記事はこちらから
増築された家のリフォーム vol.3 (静岡-岡部)
増築された家のリフォーム vol.2 (静岡-岡部)
増築された家のリフォーム vol.1 (静岡-岡部)